|\ A o-------|+\ | >---o B o-------|−/ |/このヴァーチャルショートは上図の A 点および B 点 の電位はいかなる時でも同電位であることから,仮想的に接続していることを表しています. つまり A 点に 1V の電圧を加えると B 点にも 1V の電圧が出てくることになり,A 点 B 点は接続しているように見えることからヴァーチャル(仮想)ショートと名付けられたものです.
まずはそこの君..ヴァーチャルショートについては理解していますか? OP-AMP の基本中の基本ですからヴァーチャルショートはちゃんと理解しておきましょう.
さて反転増幅回路も非反転増幅回路も基本的な考え方は一緒ですが,非反転増幅回路は1倍以上の増幅度しか設計出来ません.
しかし反転増幅回路は1倍以下の増幅度も設計出来るのが特徴です.
無論反転増幅回路にすると出力は反転して出されますので,正の出力が必要な場合は更に反転増幅回路が必要になったりしますので回路規模が少々大きくなる傾向があります.
さて具体的な回路を見てみましょう
I2 -> +----[R2]------+ | | I1-> | |\ | X o---[R1]--+---|−\ | Z | >----+----o Y +---|+/ | |/ [GND]この回路の増幅度αは以下の式で表すことが出来ます.
α = - R2 / R1
つまり OP-AMP による増幅度は抵抗 R1 と R2 により決定されます.
さてこの反転増幅回路はどの様なメカニズムで動いているのでしょうか?
まず入力端子 X からある電圧を加えます.
このとき OP-AMP における - および + 側の端子部分の電圧はヴァーチャルショートにより GND となっています.
ゆえに Z 点においては仮想的に GND となりますので,これを仮想GNDと呼びます.
さてこのとき電流 I1 はオームの法則から X / R1 となります.
ここで Z 点に注目しましょう.
キルヒホッフの法則を考えると Z 点での電流の総和は 0 になるはずです.
(ほらほら..ここでもオームの法則とキルヒホッフの法則が..基礎中の基礎はこれなんですよぉ)
よって Z 点には I1 とは逆の電流が存在していなければなりません.
これが I2 となります.
つまり I1 の電流が決まると I2 の電流値もきまります ( -I2 = I1 ).
I2 は I1 の逆の電流となりますが,先に I2 が決まり,また R2 も決まっていますので,このとき変化せざるえないのが Y 点における電圧になります.
つまり Y = I2・R2 となり,式を統合すると
Y = I2・R2 = -( X / R1 )・R2 = -( R2 / R1 )・X
となります.
故に反転増幅回路の増幅度は -R2/R1 により決定されることになります.
これが反転増幅回路の基本中の基本となります.
さてでは R1 と R2 の値はどの様にして決めたら良いのでしょうか?
これは厳密には難しいのです.
入力 X の前の回路の電流がどのくらい出力可能か,周波数特性は..等々考えると結構面倒が多いのですが,今までの経験では R1 に 10KΩ 位をつなげておけばまぁ大体良いようです.
結構 OP-AMP の回路を見てみると 10KΩ って良く使われていますねぇ.
皆どうして 10KΩ を使うんでしょうか?
私もそのわけを知りたい(笑)
私? 私も厳密にはあまり理由が有るわけではありません.
ただし電流的にそんなに流せるものでなく,入力オフセット等を考えると(経験的に)まぁこのくらいかな..って感じですね.
せいぜいつけても R1 は 1KΩ位 かな?
|\ X o-------------|+\ | >----+----o Y +---|−/ | | |/ I2 | | <- | Z +------[R2]----+ | [R1] | I1 | V [GND]この回路の増幅度αは以下の式で表すことが出来ます.
α = 1 + R2 / R1
この非反転増幅回路の増幅度も抵抗 R1 と R2 により決定されます.
さてこれはどの様なメカニズムで動いているのかを考えてみましょう.
まず入力端子 X からある電圧を加えます.
このとき OP-AMP における - および + 側の端子部分の電圧はヴァーチャルショートにより X と同じ電圧が出ます.
ゆえに Z 点においては X の電圧が出ています.
ほらあとはもうかんたんでしょぉ.
Z 点が X の電圧ということは,I1 = Z / R1 となり,キルヒホッフの法則を考えると Z 点での電流の総和は 0 になるので, Z 点には I1 とは逆の電流 I2 が存在します.
I2 は I1 の逆の電流となりますが,先に I2 が決まり,また R2 も決まっていますので,このとき変化せざるえないのが Y 点における電圧になります.
つまり Y - Z = I2・R2 となり,式を統合すると
Y = I2・R2 + Z = ( Z / R1 )・R2 + Z = (1 + R2 / R1 )・Z
となります.
故に非反転増幅回路の増幅度は 1 + R2/R1 により決定されることが明らかになります.
これが非反転増幅回路の基本中の基本となります.
さてこの結果から言えることは増幅度に 1 の数値が入っていることから,非反転増幅回路は必ず1倍以上の増幅度となると言うことです. つまり反転増幅回路のように,0.1 倍等の小さくする増幅度は出来ないと言うことを意味しますので,回路の設計段階では注意が必要です.