フィルタにはパッシブ・フィルタとアクティブ・フィルタがあります. パッシブ・フィルタは主に受動部品だけで構成され,信号は減衰するようになります. アクティブ・フィルタは能動部品と受動部品で構成され,必要に応じて信号は増幅されます. 主にパッシブ・フィルタは RC や LC によるフィルタであり,アクティブ・フィルタは OP-AMP を使用したフィルタが主になります.
周波数特性
フィルタは昔から研究されている分野で今でも色々と新しいフィルタの論文が電子情報通信学会からだされていますが,実用的には本に載っているようなフィルタで十分事が足りると言えます.
下図に示すフィルタは抵抗とコンデンサからなるLPFです.
dB
|
|----------+
| \
| \
| \
| \
+-------------------------- f
位相特性
π
|
|-------+
| \
| \
| +-------------
|
+-------------------------- f
フィルタの種類
フィルタには基本的に4つの種類が考えられます.
Low Pass Filter (LPF)
dB
|
|------+
| |
| |
| |
| |
+-------------------- f
f1
Low Pass Filter は 周波数 f1 以下の信号を通して,周波数 f1 を越える周波数の信号は通さないというフィルタです.
この時周波数 f1 は遮断周波数(cut off frequency)といいます.
High Pass Filter (HPF)
dB
|
| +-------
| |
| |
| |
| |
+-------------------- f
f2
High Pass Filter は 周波数 f2 以上の信号を通して,周波数 f2 未満の周波数の信号は通さないというフィルタです.
Band Pass Filter (BPF)
dB
|
| +----+
| | |
| | |
| | |
| | |
+-------------------- f
f3 f4
Band Pass Filter は 周波数 f3 以上 f4 以下の信号を通して,それ以外の信号は通さないというフィルタです.
大抵の場合 LPF と HPF を組み合わせて構成します.
Notch Filter (Band Elimination Filter [BEF])
dB
|
|------+ +-------
| | |
| | |
| | |
| | |
+-------------------- f
f5 f6
Notch Filter または BEF は 周波数 f5 以下の信号および f6 以上の信号を通して,その間にある周波数の信号は通さないというフィルタです.
これまた LPF と HPF で構成出来ることは出来ますが,たまに回路が特殊になるケースがあります.
以上4つの方が基本的なフィルタの方ですが,基本中の基本は LPF と HPF になります.
また LPF は積分回路として,HPF は微分回路として構成されるケースがほとんどとなります.
フィルタは理想的には目的とする周波数のところですぱっと切れるのがいいのですが,現実にはこうはいきません.
故に回路も種々考えられています.
もっとも基本的なものはバターワース・フィルタであり,遮断周波数から周波数が10倍になる毎に -20dB 減衰します.
つまり LPF を例にとると下図の様になるわけです.
dB
|
|------+
| \ 20dB/dec
| \
| \
| \
+-------------------- f
f1
これは1次 LPF の場合で,2次,3次となれば減衰の傾きは2倍,3倍と大きくなります.
すばっと切れるような特性を持たせるならば多段のフィルタ構成をする必要がありますが,回路規模が大きくなったり,その特性を出すために面倒なインピーダンスの計算などを繰り返して行う必要があります.
無線などの世界で LPF を作ると LC 回路による8次〜10次位のフィルタの構成になりますが,これまた理論的には分布定数回路網の計算が必要になりますので(なると思いますが),私はめんどくさくてやったことがありません.
まぁ必要も無かったと言うこともありますが...(^^;;
しかし本当に多段にしなくても減衰が高いフィルタも望まれている事実もあります.
パッシブ・フィルタ
パッシブフィルタは受動素子だけで構成されるフィルタです.
受動素子とは抵抗,インダクタンス,コンデンサであり,その組み合わせはいくつかあります.
抵抗とコンデンサからなるLPF
--->I
In >---[R]---+----> Out
V | E
[C]
|
---
///
このフィルタの遮断周波数(カットオフ周波数)について考えてみます.
まずはこの回路の電圧方程式を考えます.
V - E E
I = ----- = -------
R 1/jwC
ここで伝達関数を求めます.伝達関数は入出力電圧の比で求めます.
E 1
--- = ----------
V 1 + jwC・R
ここで上式を変形します.この変形のこつは jw だけ項のできるようにしますから,ここで分子と分母に 1/CR を掛けます.
E 1/CR
--- = -----------
V 1/CR + jw
ここで 1/CR を wo に置き換えます.
E wo
--- = --------- = T
V wo + jw
上式を正規化するために wo で分母と分子を割ります.
1
T(jw) = -----------
1 + j(w/wo)
ここで振幅 |T| と位相θのそれぞれの特性は以下のように求められます.
1
|T| = -------------
√(1 + w/wo)
-1 w
θ = -tan ----
wo
この特性は上にある周波数特性と位相特性の図のようになります.さて,このフィルタのカットオフ周波数(遮断周波数)は w/wo = 1 の時であり,つまり,wo = 2πfc = 1/CR となりますので,この fc が求めるべきカットオフ周波数になります.
1
fc = -----
2πCR
下図に示すフィルタは抵抗とコンデンサからなるHPFです.
--->I In >---[C]---+----> Out V | E [R] | --- ///この回路の電圧方程式は,
V - E E I = ------- = --- 1/jwC R伝達関数は,
E 1 --- = ---------- V 1 + jwC・Rよって,wo = 1/RC であり,HPFのカットオフ周波数は
1 fc = ----- 2πCRとなります.
BPFおよびBEFはLPFとHPFをカスケード接続することで構成可能です.
--->I In >---[C]---+----[R]---+----> Out V | | E [R] [C] | | --- --- /// ///それぞれのカットオフ周波数 fc1,fc2は LPF / HPF と同様に計算します. ここで,fc1 は HPF のカットオフ周波数が,fc2 は LPF のカットオフ周波数が当てはまります.
dB HPF | LPF +---------- |---------/:---+ | / : :\ | / : : \ | / : : \ | / : : \ +--------------------------- f fc1 fc2
工事中
工事中