【バス(BUS)とは?】
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呼んで字のごとし!では不親切ですね.BUSは乗り合い自動車のことを意味します(そんなこと幼稚園でもしっているわい)(^^;
ではコンピュータのバスは何でしょうか?コンピュータに使われる信号線には大ざっぱにデータ,アドレス,制御の3種類の信号線が存在します.データ線はデータが行き来する線,アドレスはデータの存在する場所を示す線,制御はデータやアドレスを設定するために色々なハードウェアの制御をする線です.それぞれの線はいくつかのまとまりがあります.ですからたくさんの信号線を束ねてBUSと呼びます.
基本的なマイクロプロセッサを用いたコンピュータの構造
+-------+ +-------+ +-------+
| | | | | |
| CPU | | Memory| | I/O |
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+-------+ +-------+ +-------+
| | | | | | | | |
<-------+------------+-------------+------> Address Bus
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<----+------------+-------------+---------> Data Bus
| | |
<-+------------+-------------+------------> Control Bus
マイクロプロセッサ : 4004から派生したCPUの総称
CPU : 中央演算処理装置
Memory : 記憶装置,メモリ
I/O : Input Output Device , 周辺装置
Data Bus : データが行き来する信号線の束
Address Bus : メモリや周辺機器の特定の番地を示す信号線の束
Control Bus : 各種制御信号の信号線の集まり
基本的なマイクロプロセッサを用いたコンピュータの動作
まず 電源をあげると CPU はある特定の番地のメモリの読み出しをします.
CPU は特定の番地を示す信号をAddress Busに出します.次にメモリからの読み出しを示す信号をControl Busに出します.そうすることでメモリは特定の番地のデータを用意し,Data Busにその信号を出します.CPU はある時間経過後データを読み出します.(ここいら辺がハードウェア・エンジニアの腕の見せ所!)読み出したデータは命令だったり単なるデータだったりしますが,命令の場合はその命令にしたがって
CPU は動作をします.
もしメモリにデータを書き込む命令の場合にはCPU は特定の番地を示す信号をAddress Busに出し,書き込むデータを CPU はData Busに出します.次にメモリにへの書き込みを示す信号をControl Busに出します.そうすることでメモリは特定の番地にデータを書き込みます.周辺機器に対してもメモリと同様にデータの読み書きを,ある周辺機器の番地示す信号をAddress Busに出します.この辺まではメモリと周辺機器の区別は特にありませんが,その後の周辺機器への読み書きを示す信号をControl Busに出すことで,特定の周辺機器にデータの受け渡しをすることが出来ます.
これらの動作を繰り返すことでコンピュータは動くんです!単純でしょ(^^)
後は単に速いか遅いかということと周辺機器がどんな動作をするかってくらいです.Windows-95 等のきれいな画面も Video (ビデオ)関係の周辺機器がどんなことを出来るか,速く CPU がその周辺機器にデータを送ることが出来るかで決まります.
とにかくこの BUS の性能で周辺機器の能力をどこまで引き出せるかが決まります.
BUSの種類
一言にバスといってもマイクロコンピュータの内部で使われるバスから,外部周辺機器を接続するバスまで色々と存在します.非常に多すぎて各社独自のバスまで含めるときっと限りが無いでしょう.私も勝手にいくつかバスの規格を会社の部門規格として定めて作った覚えがあります.いい点悪い点色々ありますが,これからもバスは変革を続けていくでしょう.
ここでは拡張アダプター(ボード)や周辺機器等に使用しているバスについて説明をします(うんちくを語るともいう).
- ・Apple-II BUS
- Apple-II のバスの名前なんてったけ?忘れちゃった..
Apple-II ってしってる人はかなりのマニアか,年をくっているかのどちらか!(笑)(^o^)/
一番はじめのパソコンは確か”タンディ”だと思ったけど,このパソコンは商用ベースとしては初めて爆発的に売れたパソコンだと記憶しています.拡張スロット(バス)を備えパソコンの基本的な構造はこのApple-IIで出来たといっても私は過言ではないと思います.
このバスの特徴は割り込み線が Wired OR 接続なことなんだよなぁ.さすが天才がつくったパソコンだけある..彼はネクスト社の次になにをしているんだろう?
をを,天才はネクストにいて,しかもネクストはアップルに買収されて,なんとアップルの顧問 CEO (経営最高責任者)に..(爆) 世の中どうなるかわかりませんなぁ〜(^^)
[1997/Feb/15追加, 2001/May/31追加]
- ・IBM PC BUS(XT BUS)
- 1981年IBMがApple-IIに対抗して作成したパソコンバスである.ちなみに IBM PC の発売日に Apple 社は"ようこそ!IBM”という内容の広告を新聞に出したそうな.それほど Apple は自信に満ちていたのに..
さてこのパソコンのバスはデータ・バスが8ビット,アドレス・バスは20ビットで構成されており,PCバスの名前で有名なバスです.CPUは8088を使用していたのでデータ・バスは8ビットでした.
物理的なコネクターの大きさは片側31ピン(全部で62ピン)のカードエッジタイプコネクタです.
【上からコネクターを見た略図】
+-------------------------+
|=========================| PC BUS
+-------------------------+
<------------------------->
片側31ピン
このパソコンの構想は現在のパソコンに引き継がれており10年以上たってもその悪夢【640Kの壁,割り込み,DMAの不足等】は引き継がれているのだ.
- ・IBM PC AT BUS(ISA BUS)
- これを知らないパソコン通はいない!いたらそれは潜りだ..初めての人も覚えよう.全世界でこれほど有名はパソコンはない!1984年IBMが80286をベースに作ったパソコンのバスです.
なんと賢いことに(せこいとも思うが)PCバスのコネクターに16ビットデータ部のコネクタを追加することで全体的に16ビットバスとして成り立たせてしまったのである.これは8ビットバス専用のボードの使えるようにとの配慮から来たものであるが,いやはや個人的にはせこいような気がする..(^^;
追加された線はアドレス線4本,データ線8本,割り込み線5本,DMA8本,その他で計36本,全体で96本のバス仕様となっています.
【上からコネクターを見た略図】
+-------------------------++------------+
|=========================||============|
+-------------------------++------------+
<-------------------------><------------>
PC BUS 拡張部分
<--------------------------------------->
AT BUS
とにかくこのパソコン(IBM−AT)はさらに爆発的に売れた!売れすぎて生産が追いつかず,他のメーカから全く同じ製品(クローン)が出て市場をさらわれるようになった.このときのIBMは寛大で回路図からコンピュータを動かすための基本的なソフトウェア(BIOS,ファームウェアとも言う)まで公開下のである.このおかげでこのバスをもっとも今から考えるとクローンのおかげでさらにIBMは市場を拡大していったのであるが..
この爆発的に売れたおかげで色々な拡張ボードが売れ,このATバスは世界の事実上の標準(Defacto standard)としていまだに使用されているバスである.
- ・ISA BUS
- Industrial Standard Architecture の略でATバスのことを言います.確かANSIが決めたような気がしますが(^^;
- ・MCA
- Micro Channele Architecture bus の略
ああ,このバスほど不運なバスは有るだろうかぁ.1990年(?)IBM社が社運をかけてATバスから乗り換えた32ビットバスの1つ.当時最大転送速度33MHzを誇る最高の性能を示したのだが,なんとATバスに対して形が異なり,またせこいことに特許を盾に使用料を取ろうとしたためボードメーカーが反発しあまりオプションボードが増えず,結果として1995年に中止に追い込まれた.当時IBM社のパソコンはこのバスが使われていたためパソコン自体+MCAボード代が非常に高く付き,お客さんは他のメーカに逃げるという事態に! あわてたIBMはその後PS/V等でATバスのパソコンを出し,その後PCIが出てくるとMCAはすっかり忘れられてしまった(^^;
IBMは社運を賭けて居たため1990年頃から業績が悪化(まあそれ以外の要因が大きいが)(エイカーズのばかやろー!),その後会長が替わり(偉い!ガースナー会長)ようやく元に戻った..今ではこのMCAは社内ではタブーである(爆)
- ・EISA BUS
- Extended Industrial Standard Architecture の略
IBM が MCA を発表しその使用料金の高さにうんざりしたパソコンメーカ(コンパック等)が ISA BUS を元に新しいバスを作ったのがEISAである.EISAの特徴はISAのボードも使えるし,EISAのボードも使える点に有る.この思想は非常に良かったが,EISAのボードを作ろうとするとコスト的に高いものになるし,またそんなに早い転送速度が必要なボードがあまりなかったため実際にはMCAよりボードの種類が少ないように見受けられるのは私だけだろうか...(^^;
ISAやローカルバスにその座を追われ1994年には確かこの規格のパソコンは無かったような気がするが....でも技術的には非常に良いバスであると思うが,まあこんなもんでしょう..
- ・Local BUS
- CPUのバスそのものを指す!【PCIの図を参照】最近はあまり見かけないがi486のCPU時代にはこのバスを出しておいて周辺機器がつなげられるようにして周辺機器のスピードが早くなるように設計されていた.
しかし..技術的にみて高速バスを直接出すとはなんと大胆な.昔のZ80や8086の時代では無いのに...
- ・VL BUS
- これまたビデオ用のバスと言うことでどっかのビデオメーカ達が(詳しいことは後日調査します)決めたバス.決めたと言ってもほとんどローカルバス!でも未だに私は使っています(笑)
- ・PCI BUS
- Intel が決めた次世代バス(現世代のバスかな?).このPCIは基本的に非常に良いバスと思います.技術的にこのバスは難しい方法を使用しているのだ.
【専門的】PCIは信号の反射を利用して,信号の振幅を安定させる技術を使っている.通常はバスの両端に終端抵抗を使用することにより反射を防いでいるが
PCI はこの反射を利用しているのである. BUS の信号は分布定数回路網によって理論計算され,インピーダンスマッチングが合わないと信号の反射によって波形が乱れる.波形が乱れると信号間の位相が合わなくなり,BUS
として働くことができなくなる.しかしながら,PCIの場合にはこれらの信号の反射をうまく利用するような線路長やインピーダンスの仕様が決まっている. 詳細については
PCI アーキテクチャの規格を参照されたい.
尚 PCI にぶら下がるICやボードはそれぞれに固有の番号が振られており,これで自動的にICやボードを認識して,I/Oアドレス,割込番号,DMA等をぶつからないように割り振りが可能となっている.
尚 PCI 等のバスの形態については下図を参照のこと!
最近は下図の Triton, DPC/DPD の部分が 1 chip になり North Bridge とよばれ,PIXX, I/O 等の部分を 1 chip にしたものを South Bridge と呼んでいる.
+-------+
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| CPU |
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+-------+
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<---+---------------+---------> Local Bus
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+--------+ +---------+ +--------+
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| Triton |<-->| DPC/DPD |<->| Memory |
| | | | | |
+--------+ +---------+ +--------+
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<---+---------------+---------> PCI Bus
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+------+ +-------+
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| PIXX | | Video |--> Video
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+------+ +-------+
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<---+----------+--------------> AT Bus (ISA Bus)
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+-----+ +-----+
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| I/O | | ROM |
| | | |
+-----+ +-----+
- ・IEEE488 BUS
- HP(ヒューレット・パッカード)社がごり押しで自社の計測器用バスを IEEE の規格にしてしまったのだ! 詳細はGPIBを参照のこと!
- ・GPIB
- General Purpus Interface Bus,別名HPIBともいう.計測器用のバスで データバス:8ビット,その他制御用バスで,アドレスバスは存在しない.
しかしながらプロトコル上でアドレスの確認をしています.
最大32台接続可能であるが,最低1台はコントローラと称して偉い方が必要! しかし2台でデータを送るだけとか受け取るだけの場合にはその場にかぎらず,トーカー及びリスナの機能がある. 結構計測器の分野では汎用的に使用されているバスであるが,遅い(私の場合最大で500kを越えない..)のが最大の欠点!
- ・SASI
- このバスはもともとシーゲート社が外部周辺機器(HDD)をPCに接続するために規格を作ったバスです.過去 NEC 98シリーズが使っていたのは有名ですが, IBM 系の PC ではあまり見ませんでした.SASI はその後発展して SCSI に規格化されていきました.
- ・SCSI
- Small Computer System Interface
このバスは色々と有名なバスです.呼び方は「スカジー」と呼ぶ方が多いみたいですね.SCSIはSASIを発展させて作られたバスですが,色々な周辺機器を接続することが可能な仕様になっています.
SCSIの仕様には現在1,2及び3が存在します.またSCSIは物理的に6mまでケーブルをのばすことが出来ますが,ケーブルの両端には終端抵抗が必要となります.この終端抵抗はケーブル内の信号がおかしくならないように接続するのもです.専門的にいうとインピーダンスを合わせ,信号の反射によるオーバーシュート及びアンダーシュートを押さえる役割をします.
SCSI−1仕様は簡単な読み書きとHDD,CD−ROMなどの仕様しか無かったのですが,SCSI−2では最高速度が10MHz(同期モード),リムーバブルディスクのサポート等多くの仕様が追加されています.詳しくはSCSI−2の仕様書を解説した本がCQ出版から出版されていますので,詳しく知りたい方やドライバーなどを書く方は必携の1冊です.
とにかくこのSCSIは現在ではどんなシステムでもサポートされているバスであり,パソコンやワークステーションの世界でも珍しいバスだと私は思います.なんせこの20数年独自企画のバスがいくつ出て消えていったのだろう..それにくらべSCSIはパソコンやワークステーション,ミニコン等幅広い世界で使用されています.
ちなにみIDEインターフェースをSCSIインターフェースに変換するボードを私は開発しましたが,まあそこそこ売れる感じは会ったのですが,こんなに売れるとはと言うくらい売れまくりました.SCSIの需要はまだまだありそうです.
- さらに最近は SCSI-3 や Ultra160, Ultra320 等という高速の SCSI が規格化されています.
- ここで少し定義を整理してみましょう.
- SCSI-1
SCSIは、ANSI(American National Standards Institute)で標準化された、さまざまなデバイスが接続できる汎用インターフェイスである。ANSIの標準化は、1982年から始まり、86年には正式規格として承認。ベースとなるもっともオーソドックスな最初の規格(SCSI-1と呼んでいる)は、最大8台(ホストを含む)のデバイスを接続し、5Mバイト/秒の転送速度をサポートする。一般には、シングルエンディッド(アースに対する電位差で信号を検出するいわゆる不平衡型)のバスが用いられ、この時のバス長は最大6mまでと規定されている。
- SCSI-2
SCSI-2では、従来の転送周期を半分に短縮し高速化を図った規格が規定され、転送速度は最大10MB/秒となる。これを一般に「Fast SCSI(ファーストスカジー)」と呼んでいる。タイミングをさらに縮めて高速化したのが「Ultra SCSI(ウルトラスカジー)」で、転送速度は20MB/秒にアップする。転送速度は次々に高速化して来たものの、この間、バスそのものは特に改良されたわけではなく、従来のものがそのまま用いられて来た。高速化に伴い、バスにはよりシビアな特性が要求されるのだが、これまではそれを満たすために、Fast SCSIでは「3m以内で8台まで」、Ultra SCSIでは「1.5m以内で8台まで」もしくは「3m以内で4台まで」というように、ケーブル長や接続台数に制限を課した。
- SCSI-3
ANSIで策定中のSCSI-3(Small Computer System Interface 3)規格は、これまでの単一のインターフェイス規格ではなく、IEEE-1394やFibre
Channelなども含んだ多岐にわたる規格を総括したものとなっている。現行のSCSIを直接引き継ぐのは、この中のSPI(SCSI
Parallel Interface)という規格で、現在策定中のSPI-3を一般にUltra3 SCSIと呼んでいる。
- UltraWide SCSI
SCSI(Small Computer System Interface)の拡張規格のひとつ。16bitのバスを用い、最大40MB/秒の転送能力を持つ。
SCSIには、拡張機能であるバス幅と最大転送速度(同期転送時のタイミングクロック)を表すいくつかの通称が付けられている。
「Ultra」はタイミングクロックを表している。オーソドックスなSCSI(200ns[5MHz]で最大転送速度は5MB/秒)をベースに、タイミングクロックが半分のタイプ(Fast-10)を「Fast」。その半分のタイプ(Fast-20)を「Ultra」。さらに半分のタイプ(Fast-40)を「Ultra2」という。また、Ultra2のタイミングでクロックの両エッジを使ったデータ転送を行なうタイプ(Fast-80)を「Ultra3」と命名している(最大転送速度は順に10、20、40、80MB/秒)。
「Wide」は、オーソドックスなSCSIバスが8bit幅であるのに対し、16bitバスに拡張したタイプを指す名前で、8bitバスが50ピンのケーブルを使用するのに対し、68ピンのケーブルを使用する。バス幅が2倍になることによって、転送速度が2倍になることはもちろんだが、SCSIはデバイスのセレクトにデータラインを使用する仕組みになっているため(いわゆるSCSI IDとデータ線が1対1で対応している)、接続可能なデバイスも2倍の16台に拡張される。ただし、一般に使われているシングルエンドタイプのUltraWide SCSIでは、ケーブル特性の関係からFast-20使用時の接続台数が制限され、実際には1.5m以内で8台、もしくは、3m以内で4台までとなる(ディファレンシャルやLVDの場合にはフル接続可能)。
- Ultra2 SCSI
SCSI(Small Computer System Interface)の拡張規格のひとつ。LVDタイプのバスを用い、8bitバスで最大40MB/秒の転送能力を持つ(16bitバスのWide Ultra2 SCSIでは80MB/秒)。
Ultra2 SCSIでは、従来のシングルエンディッドを排し、LVD(Low Voltage Differential〜低電圧の平衡型)という新しい駆動方式を採用。40MB/秒を実現するとともに、バス長は最大12mに、デバイスも最大数まで接続できるようになっている。このLVDは、3.3V駆動の+と−の信号を使う差動方式であり、これ自体は従来のものと全く互換性が無い。がこれまで同様、拡張規格は下位のモードもサポートしており、下位のデバイスが混在する環境では、下位のモードで動作する。ただしこの場合、40MB/秒、12m、全台接続といった、LVDだからこそ実現できた、Ultra2
SCSIならでは機能は一切利用できず、あくまで下位の仕様の範囲内で利用することになる。
- Ultra160/m SCSI
'98年にSCSI Trade Associationによって承認された、Ultra3 SCSI規格ベースのSCSI。従来のSCSIとの下位互換性を保ちつつ、最大160MB/秒の転送速度を実現するFast-80、データの信頼性を高めるためのエラー検出CRC(Cyclic Redundancy Check)、SCSIバスをチェックして転送の最適化を行なうDomain Validationなどの、Ultra3 SCSIの主要な機能がサポートされている。
ANSIで策定中のSCSI-3(Small Computer System Interface 3)規格は、これまでの単一のインターフェイス規格ではなく、IEEE-1394やFibre
Channelなども含んだ多岐にわたる規格を総括したものとなっている。現行のSCSIを直接引き継ぐのは、この中のSPI(SCSI
Parallel Interface)という規格で、現在策定中のSPI-3を一般にUltra3 SCSIと呼んでいる。
SCSIのハイライトとなるのがバスの転送速度だが、SCSIの転送モードは、主にコマンド転送に使われている最も基本的な転送モードとなる非同期転送モードと、一般的なデータ転送に使われている同期転送モードとに大別される。非同期転送モードは、REQ(Request)ラインとACK(Acknowledge)ラインを使って、1byte(バスは8bit)ごとに確認しあいながら転送する方法で、オーバーヘッドが大きく、転送速度も最大で約1.5MB/秒までに制限される(互換性維持のためにタイミングの短縮化は行なっていない)。
もうひとつの同期転送は、予めタイミングクロックとREQ/ACKのオフセット値(相手からの応答を待たずに先送りできるクロック数)を決め、その範囲内で連続転送を行なうモードである。同期転送時の最大転送速度は、タイミングクロックによって決まり、オーソドックスなSCSIでは200ナノ秒(1/2000,000,000秒=5MHz)――最大転送速度5MB/秒となっている。SCSI-2では、このタイミングクロックを半分にしたFast
SCSI(Fast-10)をサポート。Ultra SCSIではさらに半分に短縮したFast-20がサポートされ、8bitバスの最大転送速度はそれぞれ10MB/秒、20MB/秒。16bitバス(Wide
SCSI)では、20MB/秒、40MB/秒となる。
Ultra2 SCSIでは、バスにLVD(Low Voltage Differential〜低電圧の平衡型)という高性能の駆動方式を採用し、タイミングクロックをさらに半分にしたFast-40をサポート。転送速度は、8bitバスで40MB/秒、16bitバスで80MB/秒となる。Ultra3
SCSIでは、新たにREQ/ACKの両エッジを使ったデータ転送(Fast-80)をサポート。1クロックで2倍の転送が行なえるので、Ultra2
SCSIと同じタイミングクロックのまま、8bitバスで80MB/秒、16bitバスでは160MB/秒の転送を実現している。
- Ultra320 SCSI
ANSI(American National Standards Institute〜米国規格協会)で策定中のSPI-4(SCSI Parallel Interface 4)に規定される、320MB/Secの転送速度を持つ同期転送モード。
SCSI-3(Small Computer System Interface 3)は、さまざまなメディアとコマンドセットから成る規格の総称で、物理層には、旧来からのパラレルインターフェイスと、IEEE
1394、Fibre Channel、SSA(Serial Storage Architecture)といったシリアルインターフェイスを使用。SPIは、この中のパラレルインターフェイスの仕様を規定した規格である。
'95年に策定された最初の規格は、それまでのSCSI規格の物理インターフェイス部分をまとめたもので、電気的には、5Vのシングルエンドとディファレンシャルの2タイプ(※1)が、バス幅には、8bitと16bit、32bitを規定。SPI-2からは、3.3Vの低電圧でドライブする、16bitのLVD(Low Voltage Differential)が追加されている。
転送モードには、2本のタイミング信号(REQ/ACK)を使って、データを出力するごとに応答し合う非同期転送と、データを出力するタイミングと応答を待たずに先送りできる回数をあらかじめ決めておき、その範囲内で連続転送を行なう同期転送とがある。
転送時には、非同期でメッセージをやり取りした後、高速な同期転送に切り替えてデータを転送するようになっており、規格が新しくなるに連れより短いタイミングで出力できる高速な同期転送モードが追加。SPI-3からは、タイミング信号の立ち上がりと立下りの両方でデータを出力するDT(Double Transition)モードも追加され、同じタイミングで2倍の高速転送が行なえるようになっている。
一般に「Ultra3 SCSI」あるいは「Ultra 160 SCSI」と呼ばれている「Fast-80」モードは、DTを使ったLVD専用の同期転送モードで、ST(Single
Transition)のFast-40(これもLVD専用)と同じタイミングで、転送速度は2倍の160MB/Sec。「Ultra320
SCSI」と呼ばれている「Fast-160」モードでは、タイミングを25ns(40MHz)から半分の12.5ns(80MHz)に短縮し、さらに2倍の320MB/Secを実現している。
- ファイバーチャネル(Fibre Channel[FC])
ANSI(American National Standards Institute〜米国規格協会)で標準化された、高速インターフェイス規格。
周辺機器を接続するためのI/Oインターフェイスからネットワークへの応用まで、様々な用途を想定した規格群の総称で、ANSIの標準化は1990年にスタート。'94年に基礎となる物理層のインターフェイス規格(※1)がリリースされ、現在も、物理層の拡張や上位プロトコルの開発が進められている。PCでは、主にサーバー向けのストレージデバイス等に使われているほか、Gigabit
Ethernetのひとつである「1000Base-X」のメディアにも、FCの物理層が利用されている。
物理的なインターフェイスは、送受1対のシリアル伝送で、ケーブルには光ファイバーまたは銅線を使用。伝送速度は、最初の規格で133、266、531、1,062Mbpsを規定(※2)。'97年にリリースされた第2世代のインターフェイスで(※3)、2,125Mbpsと4,250Mbps(※4)が追加されている。接続形態は、1対1のポイントツーポイント接続、スイッチを使ったファブリック接続、デバイス間をループ状に接続するループ接続(※5)をサポート。伝送距離は最大10km(光ファイバー使用時)で、論理上は約1,700万台(※6)のデバイスを接続できる。
- 以上,SCSI-1/2/3 について簡単にまとめると,次のようになります.
STAの決めた名称 |
ANSIの規格 |
実際のデバイスでの表記 |
最大転送速度(Wide) |
(Wide)Ultra SCSI |
SCSI-2/Fast-20 |
Ultra SCSI |
40MB |
(Wide)Ultra2 SCSI |
SPI-2/Fast-40 |
Ultra2 SCSI |
80MB |
Ultra3 SCSI |
SPI-3/Fast-80 |
Ultra160 SCSI |
160MB |
Ultra4 SCSI(?) |
SPI-4/(?) |
Ultra320 SCSI |
320MB |
それぞれの関係は次の図のようになっています。
SCSI の仕様書は ANSI の T10 Tecnical Committee T10 で策定されています.
詳細はT10 Technical Committee まで
仕様はT10 Working Drafts にありますが,しかし相も変わらずまだ Draft のままだな..
いいのか?これで...
- ・C BUS
- NEC 98 シリーズで使われた(使われている)増設用スロットルのバスの名称.日本の中でこれほど有名なのに正式名称を知らない人が多い!(^^;
基本は8086の16ビットバス信号が出ているだけのバスであるが,実装可能な基板の面積が大きいため色々と使用されており,私も良く使用していました.今NECは必死に PCI に乗り換えるべくやっておりますが,過去の資産が多いこのバスはしばらく捨てることは出来ないだろうなぁ..かわいそうに..
- ・S BUS
- Sバスと聞いてわかる人はこれまた業界関係の方.私もあまりよくわからないのですが,基板の形状は長方形でコネクターは金タブ仕様のバスです.機器用のバスなので最近はめっきり聞かなくなりました.今では機器用もVMEが主流で,最近はPCIもややあるそうな.
- ・VME BUS
- これぞ機器用のバス.68000系のCPUを対象に作られたバスですが,最近ではCPUは問わず,どうもインテル系のCPUがよく使われているようです.
- ・I2O BUS
- 高性能のサーバーを構築するための新しい I/O アーキテクチャのバス.PCIバスが中心にあって,I2O はその下にサブシステムをいくつか持っている.このサブシステムに I/O 関連のタスクを分割し,サーバーを I/O の仕事から解放する.
なんかこの考え方はなんとなく IBM 370 アーキテクチャに似ている感じがする.個々のサブシステムはチャネルに相当するような..(^^;
気のせいかな? 詳細はここを参照のこと.
以下の用語は各社の商標または商標登録ですApple-II Apple Computer.Inc
Apple : Apple Computer.Inc
Intel : Intel Corporation
IBM : International Business Machines Corporation
IBM AT : International Business Machines Corporation
NEC : 日本電気株式会社
PC9801 : 日本電気株式会社
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参考文献・Peter Norton, Richard Wilton , "The New Peter Norton Programmer's
Guide To THE IBM PC & PS/2" , Microsoft Press,1988